pdf

PCP Vol.5 No3 2006

「内視鏡診療をメインに地域の信頼を得る」

 

title02

 阪急電鉄今津線宝塚南口駅前に立地する宝塚メディカルスクウェア(TMS)(写真1)は、谷村外科胃腸科医院院長の谷村雅一氏が、自身の消化器領域の専門性を生かしたいという理想を実現すべく、2001年3月にオープンした。併設する内視鏡センターや画像診断センターには、最新鋭の内視鏡やCT、 MRI等の画像診断機器を備え、安全で苦痛のない内視鏡検査を行い、迅速に診断結果と治療方針まで提示する。その診療姿勢は、患者はもとより地域の診療所からの信頼も厚く、05年の年間内視鏡検査件数は7,000件近くにまで達している。

img 4階建ての建物の1階には谷村外科胃腸科医院の診察室、内視鏡センターなど、2階と4階に画像診断センターがある。また、3階には循環器科と整形外科の2診療所が入居する

 

 

 

写真1 宝塚メディカルスクウェア外観

 

患者の不安を取り除く4つの方策を目標に揚げる

 谷村氏は、30年以上にわたり地域のかかりつけ医として診療を行ってきた父親の診療所で、1996〜97年の2年間、内視鏡診療を担当した後、97年に継承した。

 96年以来、足かけ6年、自らが理想とする診療所のスタイルを模索しながら準備を進め、2001年に複合診療施設『宝塚メディカルスクウェア(TMS)』をオープン。同じ建物内に、内視鏡センター、画像診断センターを備え、また、循環器科と整形外科の専門医が入居し、さまざまな疾患の患者に対応ができる体制が取られている。

 「この20年、超拡大手術から縮小手術へ向かう外科の歴史の大転換期を自ら経験し、多くの内視鏡や腹腔鏡下手術を行ってきた専門性を生かしたかった」と語り、同院は、内視鏡診療を全面に打ち出した診療所に生まれ変わった。

 消化管の早期悪性腫瘍の診断に対して最も制度が高く、侵襲性の低い検査法である内視鏡だが、患者にとってはつらい検査というイメージが強く、敬遠されがちなことや、介在感染などが問題となる。谷村氏は同院のコンセプトを、「より多くの患者に検査を受けてもらい、より早期に病気を見つけること」とし、患者の不安を取り除くための4つの方策を目標に掲げて取り組んでいる(表)。

 

TMSが取り組む内視鏡の重要課題

1. 内視鏡のイメージ向上

 意識下鎮静法を原則全例に実施。つらい検査であるという内視鏡のイメージを払拭する

2. 正確な診断

 高いスペックの診断機器を導入する

3. 安全性の向上

 内視鏡検査による介在感染を防止し、安全性を高めるために世界水準の感染防止システムを確立する

4. 内視鏡治療手技の偶発性防止

 偶発性ゼロを目標に取り組む

院内ネットワークを構築しわかりやすい説明を実践する

 最大の特徴は、内視鏡センターと画像診断センターに最先端の機器を導入して、谷村氏をはじめ、内視鏡非常勤医師8人、内視鏡検査技師・助手6人、診療放射線技師4人が担当するという、充実した診療体制をとっていることだ。「外科的な治療が必要な場合には、信頼の厚い連携病院で手術を受けてもらい、術後の管理は当院で行う。再発予防の観点からも継続的な検査が必要な患者も多く、その点で、画像診断センターを必要とした」と話す。内視鏡、X線、マルチスライスCT(MDCT)、MRI(高磁場1.5T*)、乳腺外来を始めたために導入したデジタルマンモグラフィなどの診断機器は最新鋭で、スペックの高い機種がそろえられている(写真2)。*T=テスラ。磁束密度。磁場の単位。

写真2 MRIと内視鏡

目指す正確な診断には、スペックの高い診断機器は欠かせない

img4img5

↑写真3 高精細ディスプレイ

 検査画像を鮮明に映し出す。すべての検査画像は2階にある第2診察室のサーバーに集められ、1階の診察室ですぐに読影できるようになっている

 

 また、院内ネットワークを構築。検査画像は、電子保存システムに蓄積され、患者には治癒前後の比較画像を見せながら、検査結果とその後の治癒方針について当日のうちに説明するという迅速さだ(写真3)。ディスプレイは、画質の良い高精細のモノクロ液晶を採用。「患者さんとの信頼関係をつくっていくことに心を砕いている」と語る谷村氏は、こうした視覚に訴えて安心感が得られる画像は、有効なツールとして欠かせないと話す。

回廊式の院内レイアウトを採用。常に患者の安全に気を配る

 内視鏡検査にはメリットも多い半面、偶発性、介在感染などさまざまなリスクを伴うため、安全対策は重要な課題だ。感染防止について同院では、『消化器内視鏡学会ガイドライン』(日本消化器内視鏡学会監修)の厳守はもちろん、世界最高水準の洗浄・消毒を行っている。

 また、時間をかけて詳細な検査をするために、原則全症例に意識下鎮静法を実施しているが、そのためには、患者の状態に十分気を配る必要がある。そこで同院では、患者に接する機会が最も多い看護師が集まるナースステーションを中央に、診療の流れに従って、待合室、更衣室、内視鏡検査室、回復室、診察室を配置した回廊式の院内レイアウトを採用(図)。患者は、各部屋をこの順番に移動すればよく、また、看護師は患者の動きを把握しながら、各部屋に最短距離でアクセスできる。さらに、ミスを減らすために独自の看護記録(写真4)を作成したり、検査前の不安を取り除くために患者に声掛けを行うなど、ソフト、ハード両面から安全対策を徹底して行っている。

img3院内レイアウト

 看護師は、中央に配置したナースステーションから各部屋に最短距離で移動できる。患者は待合室から診察室までを回廊式の通路を通り、一方向に進む仕組みだ

 img6

 

  写真4 看護記録

 チーム医療に欠かせない内視鏡看護記録、理印字の問診、血圧検査、バイタルチェックから内視鏡検査が終了するまでの記録が、流れで分かるようにくふうされている

専門性を発揮して、信頼される診診提携を積み重ねる

 同院の患者数は、1日約100人。そのうち内視鏡検査が20〜40件で、にして600〜700件にのぼる。05年の年間検査件数6,652件に達し、96年からの累積検査件数は40,000件を越えようとしている。上部と下部の消化管内視鏡検査の割合が5:3と、ほかの施設に比べて下部の比率が高いのは、ニーズの高さばかりではなく、同院の技術レベルの高さがうかがえる。

 患者の半数近くが紹介患者と、地域の医師からの信頼も厚い。その理由を谷村氏は、「迅速に検査結果と所見、そして治療方針までを示して紹介元の主治医に伝え、患者を戻すことを積み重ねてきた」と話す。

 また、専門に特化すれば、スタッフの質についての要求も高くなる。内視鏡を行う非常勤医師から最新情報を入手したり、スタッフを勉強会や研究会に出席させ、知識の向上を図っている。

 このように、医師、内視鏡検査技師、診療放射線技師など、専門分野のプロ集団が、チームで内視鏡に取り組むというスタンスを明確にし、地域の医師との信頼関係を大切にする姿勢が、同院の患者数の多さに結びついている。

 


谷村 雅一(たにむら まさかず)氏

谷村雅一氏 1962 年大阪医科大学卒業、同年同大一般・消化器外科学入局。85年に姫路中央病院外科、92年大阪医科大学助手を経て、96年からは父親が院長を務める谷村外科胃腸科医院で非常勤勤務。97年に継承し、理事長・院長に就任。内視鏡診断・治療、腹腔鏡下手術の経験と技術を生かし、内視鏡を中心とした診療所を開設。医学博士。日本外科学会専門医。日本消化器外科学会認定医。日本消化器内視鏡学会指導医。

◀Articles About Us

Copyright (c) 2009 Takarazuka Medical Square All rights reserved 医療法人社団 宝塚メディカルスクウェア 〒665-0011 兵庫県宝塚市南口1-8-26

item1a1