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第 I 章「内視鏡室紹介」 第 IV章「内視鏡室の業務」

 患者の動線とスタッフの動線は交差しないが、ナースセンターからは患者がいつも視野に入る設計となっている。安全性を確保しつつ効率を考慮している。情報機器は情報開示や閲覧性、正確性を確保するものととらえ、設備に重点を置いている。

 

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*当院の内視鏡室が紹介されています。img

検査数:上部3,900件 下部2,200件

検査室:2ベッド

スコープ:上部3本 下部3本 下部治療専用1本

スタッフ:医師1〜2名、1検査につき内視鏡技師2名

     ・看護師2名のチーム制

      他に看護師2名


設計概念

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 フロア全体を内視鏡センターとし、ナースステーション(NS)を中心に診察室、前処置室、内視鏡検査室、リカバリー室を配置している(回廊式+放射状レイアウト)(a)。患者はNSを中心に、受付、診察、前処置、検査、回復、結果説明という一定の方向で回ることになり、常に介助できるような設計とする。

 前処置室は、男女別のウォシュレット付きトイレブースを各3室確保し、各ユニットにナースコールを設置している(b)。経口腸管洗浄液飲用スペースにはリラクリゼーション用としてDVDが放映されている。

 検査室は2ベッドを特注のパーティションで区切り、画像モニターや監視モニター、高周波装置などの他に、ファイリングシステムやレポートシステム、医療用画像ファイリングシステム(PACS)、オーダリングPCやクラーク用PCなどを組み込み、収納庫としてもスペースを有効利用している(d)。

 検査後の患者はストレッチャーでリカバリー室に移動される。リカバリー室にはリカバリーベッド5台とリクライニングチェア7台が用意され、各ベッドにはバイタルモニターが設置されている(e)。各ベッドはカーテンで仕切られプライバシーが保護されている。

 診察室では検査前の診察と説明、検査の結果説明、検査後の指導が行われる。内視鏡および超音波検査の画像ファイリングやPACSの画像を表示するためにDICOMビュアーが説明する際に用いられ、閲覧性を確保している(f、g)。

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運営状況

 抗凝血薬常用などに対する問診の徹底を図り、患者と共にデータが移動する方法で情報の一元化を行い、患者情報の共有を図っている。

 汎用性の高いハイスペックな機器を選定し、メーカーとのメンテナンス契約で維持継続し、正確性を確保している。設立時から画像と文書をデータベース化することにより、時系列比較に貢献しているが、レポートシステムを作成してからは、病診連携にも有効に機能している。

 検査・治療の介助にあたる内視鏡技師と患者の管理を行う看護師とのワーキングスペースを分離し、スタッフの動線が交差しないように工夫されている。さらに、薬剤保管庫や冷蔵庫は使用する時系列で完全に分離保管されている。

 意識下鎮静法を原則採用としているため、リカバリーには熟練看護師があたり、パルスオキシメータと自動血圧計の装着、また70歳以上の高齢者には検査中から一貫してECGモニターを装着している。

 洗浄消毒室は内視鏡自動洗浄機2台、超音波洗浄器1台、オートクレーブ1台があり、やや狭い空間ではあるが、換気設備を持つ独立した場所を確保している。内視鏡洗浄消毒ガイドラインの遵守に加え、洗浄消毒履歴をデータベース化する独自プログラムを作成し、安全性と透明性の確保に努めている。生検鉗子、穿刺針、スネアなどのデバイスやリネン、スリッパ、患者用のエプロン類のディスポーザブル化も積極的に進めている。

 アメニティの確保も重要である。ロッカーやトイレを専用で使用できるようにしている。また経口腸管洗浄液の飲用からリカバリーまで、NSからすべて通行できるので、頻繁に患者にアクセスし、患者の状況把握や不安を緩和できるように考えている。

 現在でもほぼ開業当時のコンセプトが生かされているが、検査室内の機能を高めた反面、たとえば家族を検査室内に入れる場合など、入室側の遮蔽がカーテンのみなので、患者(家族)のプライバシー確保が今後の検討課題である。

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 ここで紹介されているデータは当院で集められたものであり、本文は当院の内視鏡技師である吉峯みゆきが執筆したものです。


検査報告書

 我が国では元来、手書きの記載が主流であり、今でも多くの施設が実施している。

 最近では電子カルテを導入している大規模な施設だけでなく、段階的なシステム導入を計画している施設向けの、検査効率性の高い所見ファイリングシステムをメーカーが発売している。

 そのため、より効率のよい診療を目指すため、施設の規模に関係なく検査報告書のデジタル化が普及してきた。検査報告書や画像を含む内視鏡データのデジタル化は今後ますます発展する方向にあり、管理方法はこれまでの紙ベースでの運用とは大きく異なることになる。

 保存については、厚生労働省が定めた「診療録などの電子媒体による保存について」の基準(情報の真正性、見読性、保存性)に準じ、各医療機関の責任の下に管理されなければならない。さらに2005年4月に「個人情報保護法」も施行され、より慎重かつ厳重な管理が必要となった。

 今後の進むべきデータ管理方法に関して、医療従事者にとっての利便性だけでなく、患者にとって有用性が高いということが、何よりも優先されるべき基本となることは言うまでもない。

a)検査報告書に記載される内容

書式は各施設により異なるが、報告書には以下の項目の記載が必要である。

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検査報告書の記載に必要な項目

 

1. 患者属性

2. 検査属性

3. 施行年月日(時間)

4. 施行理由

5. 検査使用機種

6. 施行医

7. 使用薬剤

8. 生検内容

9. 処置内容

10. 観察範囲

11. 病理所見

12. 所見

13. 診断

14. フォローアップ

 

 

 

 

 

 

 

「検査報告書」

 検査報告書には、記録しなければならないいくつかの項目があり、その保存方法も重要である。

 

 

b)検査報告書作成の意義

• 詳細な内容を残すことは、その施設の症例データとして財産となる。

• 正確かつ詳細な記録を残すことで、万が一の際の証拠能力を持つ。

• 患者に対するきめ細かいフォローが可能となり、再来院(リピート効果)につながる。

 

c)検査報告書の種類

検査報告書は運用レベルによって3段階に分けられる。

1)紙ベースによる運用

 

記入方法

 印刷された規定の用紙に所見と診断、その他の情報を手書きする。img4a

カラービデオプリンタで出力した画像プリントを貼り付けることができる。

 

保存方法

 カルテなどと一緒、また専用のファイルに綴じて保存する。

 

長所と短所

 ペンによる記入が自由にできるため、入力が簡単で、詳細な観察と的確な表現による記録が可能である。一方、施行医による完成度の差が大きい。また、報告書の破損・紛失も起こりやすい。

「検査報告書(紙ベースによる運用例)」

 

 

2)コンピューターを使用した運用(セミデジタル化)

 

記入方法

 画像をデジタル化していることが前提となるが、簡易的な検査報告書作成機能があるファイリングシステムや画像保存のみのファイリングシステム、市販のワープロソフトを使用した検査報告書作成などがある。また、画像を作成する報告書に貼り付けて所見診断とともに印刷することができる。

 

保存方法

 画像と同一管理が行え、デジタルファイル形式で保存することができる。

 

長所と短所

 画像はデジタル化しているためフィルムとは異なり、検査時のクオリティーを保つことができる。また、データベース化していれば患者属性などの項目で検索が行える。

 しかし、患者を特定した単一検索しか行えず、入力した所見や診断などの検査情報は画像に対しての添付資料扱いになり、データベース化されていない。

 

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「検査報告書(診断入力)」

 診断入力は、専用WINDOWにて登録されている診断名をマウス操作の選択により短時間で入力が行える。また複数医による表記違いを軽減し、施設内での統一された報告書が作成できる。

 

 

 

 

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「検査報告書(所見入力)」

所見入力は、部位・STAGE・処置内容などをボタン化し、複数項目を選択することにより、その都度変化する所見内容に対応できる。診断入力同様、短時間で入力が行え、複数医による表記違いを軽減できる。

 

 

 

 

 

 

3)現在の所見入力機能システムを使用した運用(完全なデジタル化)

 

記入方法

 セミデジタル化をさらにペーパーレス化のレベルまで高め、所見・診断・検査属性をできる限り簡単な操作で、詳細かつスピーディーに入力できる。画像やシェーマの添付、貼り付けはもちろん、画像への直接書き込みも可能である。

 

保存方法

 報告書形式にてデジタルファイル化される。また、入力したすべての情報はデータベース化され登録される。

 

長所と短所

 すべてのデータをデジタル化しているのでペーパーレス運用が可能である。必要な時に患者属性、検査属性、所見診断からの検索が行える。また、電子カルテと連携することも可能である。しかし、オリジナリティを出すためには特別なカスタマイズが必要となり、安全性の重視は機器の価格に比例するため導入コストがかかる。

d)画像データ

 

 画像データにはフィルム記録とデジタル記録の2種類がある。

 フィルム記録には以下のような問題点があるが、デジタル記録は下記のすべてをクリアしている。しかし、ファイリングシステムの価格が高く、記録のための保険請求ができない。今後、消化器内視鏡画像のデジタル保存が請求できるようになればもっと普及していくであろう。

• 画質が悪い

• プリントは褪色し、検査時のクオリティを保てない

• 保管場所が必要

• 紛失が起こりやすい

 

e)患者データ

 

 安全な検査を施行するためには正確な患者情報が必要である。検査前には、検査目的・基礎疾患・抗凝血薬服用の有無などを確認し記載しておく。検査後は使用した薬・処置など、実施したことを入力しておく。

 

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「患者情報の入力」

 検査前・中・後に、短時間で正確な情報を入力項目ボタンを押すだけで、手早く簡単に作成できる。

 

 

 

 

 

f)検査データ

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「看護記録」

前処置薬剤の使用チェックや検査中の状況などを経時記録した看護記録は、リスクマネージメントにおいて非常に大切である。多くの施設がさまざまな形式で看護記録に取り組んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

g)洗浄・消毒データ

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「洗浄・消毒データ」

 内視鏡介在感染予防が問題視される今日、検査報告書に使用したスコープ番号を記載しておくとリスク回避になり得る。これまで感染予防対策に取り組んでいる施設は紙に書いて記録し保存していたが、最近は、メーカーから洗浄履歴のソフトが開発されたり、1検査ごとに洗浄者、スコープ番号、洗浄器がバーコードで自動入力できる商品もできている。

 

h)機器修理データ

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「機器修理履歴」

 安全な検査を行うため検査前の機器点検は当然であるが、各機器の故障発生日・故障内容・修理日数・修理内容などの記録を残しておくことも安全点検の1つといえる。

 

 

 

 


 

ポイント

 報告書およびデータ管理は、各施設に適した形での作成・運用がなされるべきである。ただし報告書には、必要最低限の項目は記入されなければならない。データ管理は、さらにデータの蓄積・保存が重要課題であり、厳重にかつ過去から将来への継続したシステムを構築することが大切である。

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